何も持っていないという強み
生まれながらに何かを持っている者をたいていの人は羨ましがる。
だが、その人は本当に幸せなのだろうか?
仕事柄、農家の人たちによく会う。
今でも農家になりたいと心のどこかで思っている僕からすると、農地を持っている農家はちょっとだけ羨ましい。
ただ、よく農家から聞くのは、
「わしら農地があるけん、ここから離れられん。サラリーマンはどこでも行けてええのう。」
という言葉。
ナルホド、他人から見れば羨ましいと思うような物でも、本人にしてみると足枷になるという事か。
家族だってそうかもしれない。
家族がいないという人は、一見すると不幸なように見えるけど、身内の世話などのことを考えると、案外自由でいいのかもしれない。
・・・まあそんな風になったことが無いからわかんないけど、そういう風に考えることもできる。
金や肉体、教育なども同じかもしれない。
誰も親や生まれる環境は人は選べない。
そういうものを「運命」っていうのかもしれない。
ただ、「これから」は変えられるはず。
生まれた環境はもう「過去」でしかない。
その過去と決別することができれば、運命に縛られることもない。
結局は自分が何を選ぶかという事。
過去を振り切る勇気と力があるかという事。
なぜ振り切ることができないかというと、たぶんその「生まれた環境」ってやつにも未練があるから。
土地に縛られているという農家も、親なんて邪魔だという反抗期の中学生も、その土地や親の恩恵を受けてきたから。
もしかすると、手放すのが怖いのかもしれない。
そんな未練タラタラで、怖がりな人たちも嫌いじゃない。
現状を受け入れるにも、過去を振り切って新しいことに挑戦するにも、程度の差こそあれ「覚悟」が必要だと思うから。