お米を巡る悪循環〜元を絶たない限り不正はなくならない〜
ホントに賢い人は悪い事しない
先日世間をお騒がせしたこちらのニュース、業界人としてはやはり内部告発だろうと考えています。
告発した人エライ。
こういう人がいただけ、JAグループもまだ腐りきっていないんじゃないかとも思えます。
さて、偽装された米の中では最大6割の中国産米が混入していたという事で、消費者をなめてるとしか思えません。
まあ6割混入してても気付かないんだから、なめられてもしょうがない。
というより、
「中国産米も最近は品質があがってるんだなぁ」
って感想になりますw
中国が後進国なんて考えはもう古いのかもしれません。
問題に上がっているのは2016年産米ですが、おそらく2016年産だけでなくもっと前から産地偽装していたのだという事は容易に想像できます。
最初は1割、気付かれなかったから2割、収益が悪いと元締めのJAに怒られたからおっかなびっくりで3割・・・
という風に、毎年少しずつ中国産米を混入していったのでしょう。
おそらくこの件でもJAグループ京都が大袈裟に裁かれることはなく、トカゲのしっぽ切りよろしく京山に改善命令が出て終わりでしょう。
こんな産地偽装は、多くの米卸業者で行われています。
何年にもわたって魚沼産コシヒカリの販売量が、収穫量を大きく上回っているのは有名な話です。
今回のように
「JAグループはとんでもない!」
と騒ぐのは簡単ですし、そんなのはミーハーのやることです。
このような事件が続くときに考えないといけないのは、
「どうしてこのような不正が起こり続けるのか?」
という事。
このような不正の温床になっているのは、「農作物の価格と販売手数料が異常に安い」事です。
あるJAでは農作物の販売手数料は2%。
100万円稼ぐためには、5,000万円の農作物を売りさばかなければなりません。
家や車など、元々の単価が高い商品を売るならそれでも何とかなるでしょう。
しかし、スーパーで売っている野菜やレストランのメニューは大きな災害でもない限り、値段が下がる一方です。
もし農家やJA、卸業者が適切な収入を得るための価格をつけたなら、国民の3割は餓死するでしょう。
現代日本では基本的に
「お客様は神様」
思想が蔓延しているので、消費者が
「高い!」
と言えば、値段を下げざるを得ません。
そんな状況で利益を確保しようと思うと、仕入れ価格を安くするよりほかないのです。
しかし農家ももはや限界に来ていて、これ以上国産米の仕入れ値は下げられない。
そうなると安い国の米を国産米として売るしかなくなってくるのです。
短絡的な考えですが、これが一番手っ取り早い。
ただ長期的に見れば、今回の京山のように不正が明るみに出て信用を失い、結局自分の首を絞めてしまうことになります。
本当に賢いのはお米自体の価値を高めたりして、安売り競争に巻き込まれないようにすることです。
しかし、今の疲弊したJAグループにそこまでの余裕はありません。
今回のことで「JA」という組織全体に疑惑の眼差しが向けられ、経営はさらに苦しくなるでしょう。
経営が苦しくなるほど目先の利益に飛びつかざるをえず、このような不正はさらに増えると思われます。
ばれるばれないは別として。
JAの体質が古いのは事実でしょう。
問題があるのも事実。
しかし、罪あるものにこそ救済が必要なのではないでしょうか?
なんだかんだ言っても、いまだ日本の食と農業を支えているのはJAグループなんです。
JA叩きもいいですが、そろそろ救いの策を考える時ではないかと思います。
じゃないと最終的に損をするのは、他でもない日本国民なのですから・・・