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ミノリガタリ

農薬販売員が農薬の是非について真剣に考えたりするブログ

農薬をめぐるグレーゾーン~危険とも安全とも言えない部分~

「心から安全と言い切れますか?」

 

農薬業界で社畜として働く僕に投げかけられたお客さんからの質問。

 

具体的には、

「前日に農薬を使用した野菜を自分の子供に与えられますか?」

だった。

 

僕は結婚もしてなければ、子供もいない。

 

でも、質問に

「農薬は国の安全基準をクリアしているので安全です。自分の子供にも収穫前日に農薬散布した野菜を食べさせることができます。」

と即答することができませんでした。

 

そう僕が思うのには、大きく言って2つ理由があります。

 

①複数の成分に対する評価がなされていない

以前

 

otonachallenge.hatenablog.com

 や

 

otonachallenge.hatenablog.com

 の記事でも取り上げられたんですが、現在の農薬の使用・残留基準はかなり厳しくなっています。

 

それはもう農家を含めた関係業界が悲鳴を上げるくらいに・・・

 

ただここに落とし穴があって、厳しい基準があるのは「単一成分に対して」だけなのです。

 

どういうことかというと、農薬成分AとBがあるとします。

 

Aは

 

A→分解→A’

 

というように体内で無毒なA’へと分解されるため、人体に影響はありません。

 

一方Bはこの「A→A’」の分解行程を遮断してしまいますが、B単体では人体に毒性はありません。

 

AとBを単体で評価すると、最悪両方とも「安全」という評価になってしまいます。

 

しかし、実際に栽培期間で使われる農薬は1成分だけではありません。

 

きちんと認可を受けた減農薬栽培であっても、5成分以上の農薬が使用されています。

 

慣行栽培なら10成分はゆうに超えてきます。

 

これらは農薬の種類が多すぎるため、それぞれの成分がどのように作用しあうのかは確かめることが非常に困難なのです。

 

このことはレイチェル・カーソンも「沈黙の春」で取り上げており、アメリカでは実際にこれによる事故もあったようです。

沈黙の春 (新潮文庫)

 

 

 

②農薬の毒性は「体重あたりの摂取量」で決められている

農薬に限らず、薬品や毒物などの人体への影響量は、「体重当たりの摂取量」で決められています。

 

詳しく言うと、許容限界が1mg/kgの薬物があったとします。

 

体重70キロの人だと限界量は70mg、40キロの人だと40mgと体重の軽い人の方が許容量が少なくなります。

 

特に体重の軽い子供の場合だと、大人は平気な量でも許容量を超えてしまう場合がないとは言い切れません。

 

もちろん、国や農薬業界もその辺は考慮に入れているので、「これぐらいなら大丈夫」という無毒性量を算出し、さらにそれを安全係数100で割ることで農薬の残留基準を設定しています。

 

しかし、そこはやはり子供のこと、万が一があってからでは遅いという考えから、

「子供には安全安心なものを」

と求める親御さんが多いように感じます。

 

 

正直に言って、今の農薬は昔の農薬に比べればかなり安全性が高く、使用者・流通業者も以前に比べれば安全面に配慮しています。

 

しかし、安全と安心は別問題です。

 

そういう事を考えさせられる質問でした。