歴史上の偉人だって欠点だらけ!司馬遼太郎作・「功名が辻」を読んで完璧主義を捨てよう
人生って所詮、こんなものなのか・・・
全四巻の功名が辻、最終巻は関ケ原という大仕事をやり終えた伊右衛門・千代夫婦がのんびりと夫婦水入らずで戦国ラブストーリーをやり直します。
と思いきや、最後がなんとも後味が悪いというか、救いがないというか・・・
まあ、事実なんでしょうがないと言えばしょうがないんですが、めでたしめでたしでは終わらせてくれません。
特に歴史小説は、小説として歴史上の事実の「どこで終わるか?」で読後感が全然変わってきます。
豊臣秀吉を例に出すと、農民上がりで大名に取り立てられて関白にまでなって豊臣政権を確立する。
というところまでで物語を終わらせてしまえば、キラキラしたサクセスストーリーとして印象に残ります。
でも、幼子を跡取りにするために養子を死に追い込んだり、トチ狂って朝鮮半島に出兵したりして、見苦しいほどの老後を過ごしたところまで物語に残してしまうと、残虐で薄汚い人物としての印象が強くなります。
まあ、人間なんて一生のうちで何回ウソついたり悪い事したりするか数え切れないので、そういう部分もできるだけ描いている司馬さんの作品の登場人物はどこか人間味があって親近感がわきます。
山内伊右衛門一豊も、そんな人間だからこそ千代も支え甲斐があって最後まで一緒にいられたんじゃないかと思います。
フツーの「いい人」じゃモテないのと同じでしょう。
四巻でキュンキュンして、勉強もできて、元気ももらえるお得な物語でした。